研究最前線

企業会計における利益概念の検討

生島 和樹(プロフィール

社会における会計情報の重要性

会計情報の公表は企業や政府にとって重要な役割を占めます。それは投資する者にとって意思決定するための材料になるからです。会計情報はいわば対象物を映す鏡のような道具であるといえます。その鏡が曇っていると情報は正しく伝えられずに社会全体が混乱をしてしまいます。そのため、会計情報に影響を与える財務諸表項目の計上根拠に関心があり、研究をしております。

資産除去債務の会計処理の研究

現在、私が取り組んでいるのは資産除去債務の会計処理に関する研究です。資産除去債務とは、将来の有形固定資産除却時における汚染除去の義務であり、有形固定資産の取得時には汚染除去という行為は行われておらず支出も行われていない性格を持っています。

将来の支出について、それを財務諸表に計上するか否かという問題は過去にも議論はなされてきましたが、原子力発電所の解体等のニュースが多く見られ将来の支出が関心を集める現在においても企業に大きな影響を与える新たな問題であります。そのため、会計学における理論研究からこの問題を解決するアプローチを提案したいと考えております。

会計基準と国際社会

資産除去債務の計上の問題は、会計基準の国際的なコンバージェンスの一端として語られることもあります。現行の会計基準設定団体は、日本の企業会計基準委員会、米国の財務会計基準審議会、国際会計基準審議会の3団体があります。会計は、対象物を映す鏡のような道具であらんとするため、各国の文化や考え方の相違が会計基準に現れます。

そのため、外部からのコンバージェンスを受け入れるか否かについて理論的な根拠を提示する必要があり、そのためには各国の利益概念についての考え方を研究する意義は大きいといえます。

企業の発展に貢献したい

様々な企業が存在する現在社会において、誰に対して何のために利益を報告するのかという問いが存在すると思います。企業においてはその報告先は様々であり、なかには報告先にとって必要のない情報も報告してしまうこともあるかもしれません。

会計情報は人が作成するためコストもかかります。そのため、目的に応じた適切な情報開示を考えることによって企業の必要以上に支払われるコストの削減を達成でき、それを通じて企業の発展に貢献をしたいと考えております。

(2018年7月)

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