総合政策学部って何?
総合政策学部は文系なのですか? 理系なのですか?
総合政策学部は理系でも文系でもありません。総合政策学部で一つのUniversity(総合大学)のようになっています。教員の出身学部は、法学、商学、経済学、文学、工学、理学、農学など多岐にわたります。総合政策学部は、さまざまな分野に触れることができ、さまざまな分野の理論、思考法を学び、視野を広げ、問題解決能力を高めることができます。
岩手県立大学の総合政策学部は、他大学の似た名称の学部と比べて、教育内容、人材育成等においてどういった違いがみられるのでしょうか。
本学部の教育内容の特色は主に2点あります。ひとつは、少人数教育による、きめ細やかな指導ができるという点です。学生定員(卒業時)110名、教員約40名、教員一人当たりの学生数は2.75人となっています。本学部は、法律・行政コース、経済・経営コース、地域社会・環境コースの3コースを設置し、さまざまな専門分野を持った教員がおります。このため、学生が持つさまざまな問題意識に応えることができます。
もうひとつは、「問題発見・問題解決志向型」の教育重視している点です。本学部は、政策を考える上で不可欠となる必修科目(政策論Ⅰ、政策論Ⅱ等)を7科目おいています。
また、調査、分析、評価に必要な技法の習得を重視する観点から、10の実習科目(共通調査実習は全学生必修、その他、各コースの実習)、および調査・分析科目(基礎数理、統計学、社会調査概論、ゲーム理論、空間解析論等)をおいています。これらのカリキュラムにより、科学的手法や現場の情報を加味した社会問題を発見するスキルにくわえ、政策による社会問題の解決を思考する力を身につけることができます。
本学部の人材育成の特色は、キャリア教育科目を4科目おいて、その一つの科目(キャリア・デザインIII)で地元企業と連携しながら実践的な教育(学生による商品の企画等)を実施している点が上げられます。また、学部内に地域公共人材センターを設置し、公務職を希望する学生へのサポートをしていることも本学部の人材育成の特色といえます。
総合政策学部では、学生はどのような課題に取り組んでいるのでしょうか?
学生自身が関心を寄せる社会問題について、なにを最も大事と考えるのかを吟味し、その視点を中心に据えながら、複数の視点を組み合わせて当該の社会問題に取り組んでいます。取り組みの成果は、本学部の卒業論文要旨(http://kyoumu.poly.iwate-pu.ac.jp/)として見ることができます、様々な取り組みがありますので、みなさんの興味のあるテーマなども見つかると期待しています。総合政策学部の各教員の具体的な取組については、Twitter、Facebook、ホームページ(http://www-poly.iwate-pu.ac.jp/)で更新をしていますので、そちらもご確認ください。
総合政策学部のホームページに「社会問題を多面的な視野で分析する」とありますが、具体的にはどのような方法で分析しているのでしょうか。
社会問題を分析する際の「多面的な視野」ということは、1)社会問題をどういった関心から考えたいのかを自分に問いかけながら、2)具体的な分析方法の実現可能性との兼ね合いを考える、ということです。そのときに自分の視野、あるいは学問の一面的な視野に陥らないように気を付けることが大事と考えます。
具体的に被災地のコミュニティの復興問題を考えてみましょう。この問題については、以下のような視点があります。a.当事者の立場、b.復興政策や財政などの行政側の観点、c.地域コミュニティに住む人びとの働き口などの経済的な観点、d.人びとが住みやすいと考える地域コミュニティの人間関係や社会関係についてなどの社会的な観点、e.自然環境の復興の観点など。これらは、それぞれ単独でとりあげた場合にはしばしば矛盾が存在します。例えば、住民の経済対策(a)のための企業誘致(c)には行政の補助金などの資金が必要となってきますが、ほかの事業との兼ね合い(b)もあり、際限なく使えるわけではありません。企業誘致する際には、自然環境へのダメージ(e)も考えられます。これらの矛盾を許容しながらも現実的な解答を見つけようとするのが、本学部の重視する「多面的な視野」ということになります。
本学部においては、上のa~eの観点にしたがう方法論を3つのコース、法律・行政コース、経済・経営コース、地域社会・環境コースのそれぞれで具体的に教えています。そのため、被災地のコミュニティの復興問題という同一のテーマを、それぞれのコースの学生と教員が異なった視点から取り扱っています。具体的な分析方法は、判例分析、経営分析、意識調査、環境調査などそれぞれの研究対象により異なりますが、それでも共通のテーマにたいして現実的な解を見つけようとする姿勢は同じものです。
総合政策学部では、どのような資格が取得できますか?
学部全体としては「社会調査士」の資格取得が可能です。「社会調査士」はアンケート調査などを含む社会調査の専門家としての認定です。また、地域社会・環境コースでは「環境再生医初級」の資格取得が可能であり、「ビオトープ管理士(2級計画部門)」についても資格試験一部免除の対象となっています。また、岩手県の若手の狩猟者育成の施策に応えて勉強会などを行って狩猟者免許取得を促しています。「環境再生医」は、自然環境に関する専門的知識や地域の歴史・風土への理解などの裏付けのもとに、市民の立場で行政・産業界・教育界・地域住民などとの協働が必要な際に、調整・推進していく役割を担う資格です。
社会調査士:https://jasr.or.jp/for_students/what_sr/
環境再生医:https://narec.or.jp/activities/saiseii/saiseii-about/
ビオトープ管理士:http://www.biotop-kanrishi.org/biokan_02.htm
就職活動へのサポートはどのようなものがありますか?
キャリア形成のための授業として、1・2年次では「キャリア・デザインI・II」「インターンシップ」、3年次では「キャリア・デザインIII」を開講しています。授業外でも、さまざまな就職活動のサポートを行っています。例えば、自己分析のためのPROGテスト*や就職ガイダンス、企業見学会、就活提出書類の添削指導、模擬面接、OB・OGを招いての座談会、民間企業(マイナビ・リクナビなど)による就職支援サイトの利用講習会、SPI模擬試験、公務員模擬試験などがあります。
*:PROGテスト:https://www.riasec.co.jp/progtest/test/
公務員の勉強を大学でできるのでしょうか?
公務員試験は大きく分けて2種類あり、1つは専門科目を課さないもの、もう1つは専門科目を課すものです。前者は市町村職員、県Ⅱ種、警察官等で、後者は県Ⅰ種、国家総合職、国家一般職、国家専門職等です。当学部カリキュラムは、行政職等の専門試験に出題される法律や経済等の科目を多く含んでいますので、公務員を目指す人はまず学部の授業で法律・経済の科目をしっかり学んでください。
総合政策学部では、公務員希望者向けに「地域公共人材研究センター」を設置しています。センターでは、公務員試験関連図書の貸出、公務員模擬試験、勉強会などを通し、密度の濃い指導をしています。また、生協による公務員対策講座も開講されています。
コース配属はどのようにして決まるのですか?
1年次後半から自分がすすむコースを選択するためのカリキュラムがスタートし、3年次より正式にコース配属となります。基本的には、学生の希望に添う形で配属が決まります。さらにコース配属後、ゼミ配属(専門演習I~IV・指導教員)の希望をとり、3年次の前期中にはすべての学生のゼミ配属が決まります。
どのような企業に就職していますか? また、公務員になっている卒業生は多いですか?
卒業生は実にさまざまな業種・さまざまな企業に就職しています。年によってバラツキはあるのですが、ここ数年の主な就職先の業種は公務20~25%、卸売業・小売業10~20%、金融業・保険業10~15%、サービス業(広義)5~15%となっております。また、特定の企業にたくさんの方が就職しているということはなく、コンスタントに就職している会社としてはJR東日本、岩手銀行、北日本銀行、東北銀行、ワイズマン、ツルハ、岩手医科大学などがあります。このように、就職先が特定の業種・企業に偏っていないことが総合政策学部の特徴です。なお、岩手県内就職は50~60%となっています。
公務員については国家公務員、県・市町村職員、警察官などに就職しています。卒業したあとに公務員を目指し就職している事例もあります。
詳しい就職状況はこちらのサイトをご確認ください。
http://www-poly.iwate-pu.ac.jp/syushoku/
総合問題を用いた選抜の意図を教えてください。
本学部の総合問題は、現代社会のさまざまな問題に関連する文章や資料・図表・数値などを用いて、解答を導く能力を評価します。これは、本学部では、現代社会のさまざまな課題を境界領域(総合政策)の側面から調査研究を行い、自ら解決方法を提案できる人材の育成を目指しているためです。そのため、現代社会に関する問題を出題し、論理的な文章を書くこと(他者に伝えること)を問う「総合問題」を出題しております。
総合問題の勉強法を教えてください。
総合問題では、現代社会の課題について問う問題を出題します。そのため、国内外の社会・自然環境に関わるさまざまな課題について常にアンテナをはっておくことと良いと思います。ニュースを見たり、新聞を読んだりする習慣をつけるとよいでしょう。気になった話題については、気になったポイントや自分との関わり、解決方法などを自分なりにメモを作ってみるといいと思います。はじめは短いメモでもいいでしょう。少しずつ長い文章を書く練習をしてください。また、論理的な文章を書く習慣をつけると良いと思います。論理的な文章を目指すためには、筋道を立てて表現することに注意するといいでしょう。