教員紹介

島田 直明 (しまだ なおあき)

職名
教授
専門分野
植生学,景観生態学,植物生態学
担当科目
地域生態学,自然環境保全論,環境科学概論,生態学基礎,環境アセスメント論,地域環境調査実習

過去の実習の様子

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研究最前線(コラム)

岩手県の海浜植物の保全

研究テーマ

里山の植物・植生と三陸沿岸の海浜植生を主な対象としています。現在は、主に以下のテーマで進めています。

  • 景観・植生変遷と人の土地利用の関係
  • 海浜植物の移植とその後のモニタリング
  • 被災地の希少水草の分布
  • 海浜植物の再生と環境教育

ほかにも自分からの持ち込み企画も受け付けています。一緒に進めていけるかどうか、相談できればと思います。

ゼミの進め方

ゼミの進め方・内容は、3年生のうちは主にさまざまな自然環境に触れたり、植物を覚えたり、文献を読んだり、データの整理方法や専用のソフトを学んだりしながら、卒論を進めるための基礎力をつけます。4年生になると、それぞれの卒論のための野外調査が本格化していきます。

現在の研究課題、研究活動

地域の植物や植生の分布が何故、現在のようになっているのか、ということに興味があります。そのため以下のことについて研究しています。

  1. 里山景観の変化と自然環境や社会要因との関係
  2. 里山景観内の植物・植生の分布と環境要因の関係
  3. 東日本大震災後の海浜植生・希少水草の分布と変化および保全対策

現在は薪や炭の利用や茅葺き屋根などが大幅に減り、以前よりも里山に人の手が入らなくなることで、植物の出現傾向が変化していると言われています。里山の植物の分布と人の営みの関係を明らかにして、里山の植物の保全を考えるための研究を行っています。対象としている植物はフクジュソウ、半自然草地、雑木林、シラカンバ(白樺)林、ウルシ林などで、調査地は主に盛岡・滝沢・浄法寺・平庭高原などです。

三陸沿岸の海浜植物は、東日本大震災やその後の復興工事によって、その生育環境が大幅に縮小しています。この中で、どこの砂浜に海浜植物が残存し、経過年数に従って、どのように変化・回復していくのかということを調査しています。さらに、残存している砂浜の植物たちの保全について、地元の行政や地域の方ととともに取り組んでいます。海浜植物の移植や苗づくりを行い、工事後の砂浜に戻すことで、地域の自然回復や景観復元を行おうとするものです。対象地は野田村十府ヶ浦、釜石市根浜、陸前高田市広田などです。

東日本大震災後の被災地では、津波による撹乱があったため、希少な水草が見られるようになりました。しかし、復興工事などの影響で大きく減少したと言われています。その中で、現在の希少水草がどこに残っているのかを調べています。調べてみると、新しくできた防災用の水辺に生育することもあり、今後の消長も調査していく予定です。また、震災後に希少水草を保全するための水辺ビオトープが作られた場所もあります。これらの場所のモニタリング調査を行い、保全方法を検討し、実際の保全活動にも取り組んでいます。対象地は大槌町・釜石市片岸・陸前高田市高田松原などです。

社会活動(学外の委員会活動、学会委員活動、NPO理事など)

  • 岩手県希少野生動植物保護検討委員会委員(2017年~継続中)
  • 盛岡市環境審議会委員(2021年~継続中)
  • 日本景観生態学会 生態系インフラ活用検討委員会委員(2016年~継続中)
  • 植生学会企画委員会委員(2020年~継続中)
  • 一般社団法人 東北地域環境計画研究会 理事(2015年~継続中)
  • 岩手生態学ネットワークメンバー(2008年~継続中)

教育のポリシー

自然調査中に現地で“感じた”ことを、調査し、データとして表現することが大事であると恩師から教わりました。“感じられる”ようになるためには、自分の五感を使って、自然環境をつぶさに観察して、自然環境に対するセンスを磨くことが重要です。そのためには、さまざまな現場を歩き、多くの自然に触れることが必要になります。ということで、私のゼミは、多くの現場に数多く通います。自分の調査場所だけでなく、ほかの人の現場にも足繁く通い、自分の自然環境に対するセンスを磨くことを楽しめるようになって欲しいと思っています。

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