教員紹介
桑原 尚子 (くわはら なおこ)
- 職名
- 准教授
- 専門分野
- 国際協力論,比較法学,イスラーム法
- 担当科目
- 国際協力論I・II,法律・行政実習
- 学位
- 博士(学術)
研究テーマ
私たちは、多角的視点をもつことで、自分や身近な社会をより客観視できるようになります。外国を知ることは、日本のよさや課題に気づく絶好の機会です。国際協力は自らを映す鏡であり、日本の国際協力を知ることは、日本社会をグローバルな視点から理解することにつながります。国際協力は、学際的・国際的な人知を結集して社会変革に取り組む実践と学問が融合する、創造性に富んだ学問分野でもあります。学生の皆さんと、国際協力のもつ知的刺激・興奮を大切にしつつ、その知見を社会変革に活用する方策を協働して考案したいと思います。
学生の皆さんの、国際協力や日本の地域社会に関する問題関心を尊重し、学問の作法にのっとって、これらを考察していきます。いずれのテーマにおいても、認識枠組の自覚及び社会科学の方法論といった学問の基本を大事にしながら研究を進めます。
ゼミの進め方
発表、グループワーク、ディスカッションなど能動的学習を中心とします。グループワーク及びディスカッションは、全受講生及び担当教員が一緒に、各自の発表をより充実した内容へ発展させることを目的に行います(協働)。
3年次前期
受講生各自の興味関心や問題意識に基づいて、国際協力や日本の地域社会に関する事例を調査・分析して、課題を抽出します。事例分析・課題抽出に際して、先行研究の読み込み(クリティカルリーディングの習得)、国際協力、日本の地域開発やまちづくりに携わる関係者等へインタビュー(情報収集・情報整理方法の習得)を行います。
3年次後期
抽出した課題を解決するための方策を、国際協力の実践で用いられている方法論を使って、協働で考案します(課題解決型思考の習得)。
事例の調査・分析、課題抽出、解決策を小論文にまとめて、報告・講評会を実施します(論理的文章の書き方、プレゼンテーション能力の習得)。
4年次前期
3年次後期で実施した報告・講評会の結果を参考に、「卒業論文研究計画」の作成、「論文の目的と背景」、「先行研究分析」を行います。
4年次後期
「卒業論文研究計画」にのっとって、卒業論文を執筆し、卒業論文プレゼンテーションの練習を行います。
現在の研究課題、研究活動
「利害や価値観が対立競合する異質な人々が、どうしたら共生できるか」に関心があり、基礎法学に分類される比較法学や法社会学のアプローチを用いて、グローバル・サウスをフィールドに研究をしています。現在の研究課題は次の「(1)」から「(4)」です。
(1)少数派・弱者の生き残り戦略
(2)寛容な社会と法多元主義(legal pluralism)
(3)イスラーム圏ポスト・コンフリクトの統治の正統性に関する比較法的・法社会学的研究
(4)ロシア「勢力圏」から読み解くポスト・ソビエト・ユーラシアの法変容
また、これまで携わってきた国際協力実務の知見を、日本の地域社会が直面している課題ー例えば、超高齢化社会ー解決へ活用できないか探るべく、次の「(3)」の研究に着手したところです。
(3) 国際開発と日本の地域課題の接合 - 人権基底的アプローチ(human rights based approach)を手がかりとして
社会活動(学外の委員会活動、学会委員活動、NPO理事など)
- 国連開発計画 (UNDP)・タジキスタン事務所, “Promotion and strengthening sales potential Tajik handicrafts across Japanese market”プロジェクト, アドバイザー(2022年11月~)
- 一関市空家等対策協議会委員(2022年2月~)
教育のポリシー
これまで、紛争後の国(イラク)や社会主義体制からの移行国(ウズベキスタン、タジキスタン)に駐在して、国際協力実務に携わってきました。国際協力の実務経験で実感したことは、社会を変えるのは「人」であるということです。人を育てる教育は、道路橋梁、建物施設などを建設するよりも長い時間を要しますが、社会変革の根幹を成すと考えています。「多様性」、「独創性/常識を疑う」及び「現場主義/百聞は一見に如かず」という姿勢を大事にしながら、私たちの社会が抱える諸問題の本質を見極め、学問の作法にのっとってその解決策を探求し、そして利害や価値観が対立競合する他者と対話できるような人材の育成に努めたいと思います。