調査中 | 職名教授専門分野自然地理学、地形学、地形発達史、地生態学 |
地理学、地誌学
博士(理学)
学問分野は自然地理学で、とくに地形を扱う「地形学」が専門です。
博士論文までは、日本各地の丘陵地や低い山地の斜面が、いつ、どのようにして形成されてきたかを研究してきました。山が削られて斜面になるので、斜面形成当時の状況を示す証拠はほとんど残されていません。ヤブの中で測量して斜面の形状を詳細に調べたり、わずかに残されている堆積物を探すために深さ2m以上の穴を毎日のように掘ったりして、山が削られてきた歴史と当時の古環境を復元してきました。
また、その後は東南アジアの大陸域(インドシナ半島)で、侵食作用によって形成された広大な平野である「準平原」や、それに伴って形成される熱帯特有の土壌である「ラテライト」などについても研究してきました。
最近では、大学の近所にある春子谷地という湿原で堆積物や植生を調査し、近年の土地利用変化が湿原に及ぼしている影響について、地形学の立場から明らかにしようとしています。
東北地理学会編集委員
大学時代は山岳部に所属し、山ばかり登っていました。4年間では登り足りなかったので、就職せずに大学院に進学し、結局そのまま研究を続けています。研究対象は低い山ばかりで、登山の対象になるような魅力的な山ではありません。せいぜい山菜採りの対象になるくらいでしょう。高山で研究したとしても、きっと登りたくなって研究どころではなくなると思い、あえて高山は研究対象にはしませんでした。体力も落ち、おなか周りが気になりつつも、いまだにヤブをこぎ分けて山に入り、調査することを楽しんでいます。
とにかく、大学周辺の地形のことは何でも知っておきたいと思っています。私の研究の特徴は、地形がどうやって形成されたのか、その歴史を復元したがることです。紙芝居のように、○○年前はこんな風で、△△年前にはこう変化して、そして現在の状態になった、というような結論を導き出す研究が好きです。自然環境に関する研究者は多いですが、百年・千年・万年さまざまな時間スケールで自然をとらえる研究者は多くありません。「時間」や「変化」を意識して自然環境を見つめることが、私の研究や私のゼミの特徴と言えるでしょう。
研究対象は必ずしも自然ばかりでもありません。農業や都市について研究しているゼミ生もいます。それらの研究でも、基本的に変化の過程を重視しています。ゼミの学生には、まずは現場を見て、それから考えるように指導しています。私自身はヤブでも泥沼でも炎天下でも寒風吹きすさんでいても、野外調査は大好きです。考えるよりも先に身体が動く、そんなタイプの学生がゼミの扉をたたいてくれることを期待しています。
(2013年04月01日現在)