中津川にて | 職名准教授専門分野水環境学、環境生態工学、水辺植物の諸機能の評価と活用 |
水圏環境システム論、環境化学基礎
博士(学術)
1級ビオトープ施工管理士、1級造園施工管理技士、1級土木施工管理技士
民間企業で技術者として、植生護岸の活用による水辺の緑化や湿生植物を活用したビオトープ空間の創出、水辺の植物による水質浄化などに関する仕事をしてきました。その過程で感じた疑問の中に、以下のような既往の結果の無いものがありました。
1)スゲ属植物の水質浄化機能は実際にどの程度か?
2)スゲ属植物を屋上緑化に活用した場合の温度上昇抑制効果はどんな感じか?
実験施設や実施設をつくり、解析、検証を行うような仕事もやらせてもらうことができ、上記についてそれなりの結果を得ることができました。植物の水質浄化機能を追っていく中で、鉛直流式人工湿地水質浄化技術にも巡り会いました。
ところで、なぜスゲなのか?それは、a)ある程度の水深まで進出する種類があり、水域の環境を多様にする。b)あまり草丈が高くならず、景観形成上好ましい。c)密な群落を形成し、比較的安定性が高い。d)根系がしっかりと張ることから、崩れやすい水際の土地を安定させる。といった特性に着目したからです。
スゲだけではなく、広く水辺の植物は、水質浄化や微気象緩和、生物の生息空間や景観形成、護岸形成などの諸機能を複合的に発揮し、水環境や人間の住環境に作用します。この特性をもっとうまく活用できないか。水辺植物群落の修復、創出も重要ですが、さらに広い応用や解決すべき基礎的な課題もありそうです。
大学では「林学」を学びました。盛岡が気に入った私は岩手に拠点がある民間企業に就職することができましたが、そこで担当したのが「水辺の緑化」でした。小学生の頃、亜流の「水ガキ」だった私は比較的容易にそのおもしろさに入り込むことができました。その中で生じた疑問に取り組む内に、いくつかの偶然に巡り会い、現在に至ります。
緑化の分野から水環境に入り込みました。そこからの応用も考えていきたいですが、身近な水環境を自分の手で確かめてみたいと思います。さまざまな課題から、場所によって変わる条件に対応し、辛抱強くデータを得、解析することで結果を出す。思うようにいかないことも間々ありますが、興味を持てさえすればもう一歩踏み込むことができ、それが次の原動力になります。その感覚を学生の皆さんとも共有することができればと思っています。
(2014年04月11日現在)