調査中 | 職名講師専門分野農業土木学、農村生態工学 |
環境調査法、生態学の世界、演習・実習の補助
博士(農学)
技術士(農業部門:農村環境)
卒業論文に取り組んだ当時から現在に至るまで、田んぼまわりに棲む生きものを保全するための工法や手法について考えてきました。とくに、メダカやドジョウ、ナマズやフナ類など、田んぼを生息環境の一つ(たとえば、産卵や採餌など)とする魚たちを研究対象としてきました。
全国にある田んぼの多くで実施されているほ場整備事業は、水管理の簡便化など農家に様々な恩恵をもたらしていますが、一方で田んぼと排水路との間に垂直な落差を形成するので、魚が入れない田んぼにしてしまいます。そこで、ほ場整備の完了した田んぼに、再び魚が入れるようにするため、魚が上りやすく、安全に降下できる「水田魚道」の構造について、実験を行いながら検討しました。その後、開発した水田魚道を現場に設置して、魚の生息環境の保全に一定の効果があることを確認しました。
現在、この水田魚道は簡単な方法で設置できるよう改良が施され、全国に普及しつつあります。しかしながら、水田魚道は魚の移動経路を確保したに過ぎません。農法(水管理や栽培方法)と魚の繁殖との関係など、田んぼまわりに棲む魚を保全するためには、解決しなければならない課題が数多く残されています。
近年、田んぼまわりに棲む多く生き物が姿を消しつつあります。これらの生きものを保全するためには、その生態を知ることはもちろんですが、農業土木の知識も欠かせません。むしろ、農業土木の知識を基礎として、生きものの生態を学ぶことが保全への近道だと思います。私は、その近道を歩き続けたいと願い、現在に至っています。
私の主な研究フィールドは農村です。農村生態系は二次的自然ですから、その保全策は、農村の風土に根ざしたものでなければ永続しないと考えています。まずは、岩手の農村を歩き、その風土を肌で感じることから始めたいと思います。そして、現場に転がる研究の手がかりを、拾い集めて行こうと思います。
(2017年04月01日現在)